少年テングサのしょっぱい呪文

少年テングサのしょっぱい呪文 牧野修 電撃文庫 2009年10月10日

☆☆☆☆☆☆ 
 今日も今日とて喫茶店不眠症」に集まるバカ3人組、リーダ格のテングサに、クールな2枚目あっちゃん、ちょっと小太りな3枚目のサトル。3人のお目当ては「不眠症」で働く美人のお姉さん、ナツメグだった。ある日、いつものように「不眠症」にいたテングサを訪ねて、怪しげな女性がやってきた。彼女はテングサに憑いている邪神を頼ってやってきたのだが……。
 心太(ところてん)とかいて「こころ」と読み、だからあだ名がテングサという変わった名前の少年と彼の仲間たちが活躍する『少年テングサのしょっぱい呪文』です。これはなかなか面白かったですね。
 まず、邪神法人の設定が良かった。願いをかなえてくれる邪神だけど、ヨリシロ(主に人間)に憑依しないと現世に留まれない存在で、しかも法人格をもっているというのが面白いですね。法人なので、その力を借りるには面倒な手続きを踏まないといけないというのが新鮮でした。
 あと、メインの登場人物たちも良かったです。喫茶店不眠症」で繰り広げられるバカ話が楽しいですね。個人的にはテングサの愛人を自称するピカビア(本名)が好きだったり。ただ……もうすこし活躍の場があればなー。
 それはそうとストーリー自体は結構シリアスだったかと。とくに最後に明らかになる事実はなんともほろ苦い感じでした。
 そんな感じで、最後まで楽しめた作品でした。