戦う司書と恋する爆弾

戦う司書と恋する爆弾 山形石雄 集英社スーパーダッシュ文庫 2005年9月30日

☆☆☆☆☆
 死者の全てが「本」になり、図書館に収められる世界。記憶を奪われ、胸に爆弾を埋め込まれた少年コリオ=トニス。彼の目的は世界最強の武装司書・ハミュッツ=メセタを殺すこと。しかし彼は、ある日手に入れた美しい姫の「本」に一目惚れをして……。
 死者が「本」になる世界の物語『戦う司書と恋する爆弾』です。これはまずまずな面白さでした。タイトル通り爆弾な少年が恋をするお話です。
 読んでいて真っ先に浮かんだ感想は「ひどいな」でした。といっても作品に対する感想じゃなくて、コリオが置かれている状況がって意味ですが。序盤の、自分が爆弾だと信じて疑わないコリオの言動は、なんていうかうすら寒いものを感じさせますね。で、そんなコリオが「本」に出会ってからも、読んでいて痛々しい感じがしました。なので、「ひどいな」と。でも、多少歪みを感じないこともないですが、たしかにそれは純愛であると思わせる展開が良かったです。
 一方で、戦う司書である方のハミュッツサイドのお話は、もう少し深く突っ込んでほしいなと思ったりも。割とあっさり風味だったかと。
 まとめ。コリオと「彼女」の恋のお話が印象的だった作品。シリーズ展開しているので、これからも折を見て読んでいきたいです。