世界平和は一家団欒のあとに(8)

世界平和は一家団欒のあとに(8)恋する休日 橋本和也 電撃文庫 2009年8月10日

☆☆☆☆☆☆
 柚島の誕生日が近付いてきた。美智乃にそそのかれる形であるものの、軋人はプレゼントを用意する。柚島のほうもいつも守ってもらっている軋人に何かお礼をしたいと考えていた。美智乃の暗躍もあり2人は大型ショッピングモールでデートらしきものをすることになって・・・。一方、星弓家を訪ねていた祖父・大三郎の部下である煉次に不穏な動きがあり・・・。
 『世界平和は一家団欒のあとに』その8冊目です。今回もなかなか面白かったですね。
 今回はなんといっても柚島さん(と軋人)が素敵過ぎるー。美智乃にはめられてデートまがいなことをすることになって服装を気にしたり、テープの件で動揺したり、柚島さんが普段見せない部分がたくさんあって、読んでいてニヤニヤしてました。楽しい楽しい。とくに柚島家での2人のやり取りが良くて、手違いで酔っ払ってしまった柚島さんが可愛すぎる(笑)。
 一方で、今回のもうひとつのメインである美智乃と煉次の話も良かったですね。状況だけみればわりと切迫としていはずなのにどこか穏やかに進む展開が印象的です。どことなく切ない。
 そんな感じで今回も最後まで楽しめました。これからの展開にも期待です。
 印象に残った台詞(以下反転)――「そ、そんなわけないでしょ! ……うう、いいわよ、もういいわよ! そうです! 悪いのは私です! 好きなだけ私のそばで寝ればいいじゃない!」――柚島さんの台詞。怖い思いをしたから一人で眠るのが怖かったときに軋人から「一緒に寝るか?」と尋ねられたときの反応(の一つ)。なかばやけ気味に問題発言する柚島さんが素敵だ(笑)。あと、そのあとの「う、受けて立とうじゃないの……」という台詞も好きだったりします。