ソードアートオンライン(2)

ソードアート・オンライン(2) アインクラッド 川原礫 電撃文庫 2009年8月10日

☆☆☆☆☆☆
 そのゲームでの死は本当の死。クリアするまで脱出不可能なMMORPGソードアート・オンライン」に取り込まれたプレイヤー達。ソロプレイヤーのキリトのようにゲームをクリアを目指す<攻略組>以外にも、そのゲームにはたくさんの 考えの違うプレイヤー達が過ごしていた。彼等は脱出不可能という過酷なゲーム状況でも活き活きと それぞれの生き方をしていた。これは、ソロプレイヤーのキリトが出会った、過酷なゲームを生きる少女たちとのエピソード。
 「ソード・アートオンライン」その2冊目にして、短編集です。今回もなかなか面白かったです。
 一巻で一応完結している状況なので、今回は同時間軸上の短編集ですね。ちなみに主人公は前巻と同じくソロプレイヤーのキリトです。短編集ですので、以下それぞれに簡単に感想を。
 「黒の剣士」・・・相棒を失った<ビーストテイマー>の少女・シリカとのエピソード。13歳のシリカとのやり取りが印象的で、キリトの違った一面が見える話だったかと。意外にコミカルな部分もあって楽しかったです。
 「心の温度」・・・鍛冶屋のリズベットとのエピソード。リズの一人称で語られるのですが、この彼女の揺れ動く感情が印象的でしたね。キリトとの第一印象は最悪なものだったのだけど、ともにクエストをするうちに少しずつキリトに惹かれていく・・・そんな展開でした。良かったです。
 「朝霧の少女」・・・キリトとアスナが出会った少女ユイとのエピソード。本筋の話も良かったのですが、個人的にはキリトとアスナの掛け合いが好きですね。「ああ、仲いいな」という感じがひしひしと伝わってきます。カエルの肉をめぐるアレな展開には思わず笑いが。
 「赤鼻のトナカイ」・・・キリトにとって忘れられない少女サチに関わるエピソード。これはなかなか辛いですね。キリトの回想を混ぜながら進むのですが、本当に些細な、希望ともいえないような光明にすがりつく彼の姿が胸に来ます。切ないですね。そんな切ない展開の中で、個人的に印象的だったのは刀使いのクラインですね。不器用ながらキリトを心配しているのが伝わってきます。
 そんな感じで、どのエピソードも楽しめました。今後もあるのなら他の人物のエピソードなども読んでみたいです。