世界の終わりの世界録

世界の終わりの世界録(アンコール) 細音啓 MF文庫J 2014年7月31日

☆☆☆☆☆☆
 かつて伝説の英勇エルラインが遺した至宝「世界録(アンコール)」。その存在をめぐり様々な国やパーティが探索に出ている時代。そんな時代に見た目だけがエルラインとうり二つな少年がいた。少年の名前はレン。周囲の人間から見た目だけの「偽英勇」と馬鹿になれながらも、騎士になるために必死の努力を続けるレン。そんな彼はある日街中で一人の少女と出会う。それはかつてエルラインと共に旅をした竜姫キリシェだった。そして――。
 『黄昏色の詠使い』『氷結鏡界のエデン』の細音啓先生による新シリーズ『世界の終りの世界録(アンコール)』です。これはなかなか面白かったですね。
 まず主人王であるレンが良かったですね。かつての英勇に見た目だけがそっくりで、そのせいで周りから正当に評価されず(レンは決して弱いわけじゃない)馬鹿にされている毎日。それでも努力を続けていく姿が格好良かった。素敵。
 またレンの仲間になる3人も個性的というかなんというか(一応反転――かつてエルレインと旅をした3人の少女)。個人的にはレンの先輩でもあるフィアが好きかも。レンのことを馬鹿にすることなく、少しからかいつつも温かく見守っている、そんなところが素敵ですね。ただし年齢の話はしてはいけません(笑)。
 シリーズものの1巻ということもあってかすごく盛り上がるとか熱い展開があるとかではないのですが、レンと3人の少女たちの掛け合いを楽しみつつ、努力家のレンの活躍を応援したくなる、そんな作品でした。今回の件を受けて色々と各地で動きがある様子。これからどんな展開になるのか続きも楽しみです。