紫電の刃と慟哭の精霊姫

紫電の刃と慟哭の精霊姫 坂照鉄平 一迅社文庫2013年11月1日

紫電の刃と慟哭の精霊姫 (一迅社文庫)

紫電の刃と慟哭の精霊姫 (一迅社文庫)

☆☆☆☆☆☆
 突如起きた異変により魔法の世界イグネイシアに転移してきたのは――日本。それから500年。イグネイシアの住人と日本人の間にはいまだ確執が根付いていた。そんな時代に侍を名乗る少年・陣八は旅の途中、二人の少女ミラベルとグーデリアと出会う。「日本人」である自分にも分け隔てなく接するミラベルに惹かれる陣八。出会った際に折れてしまった刀の代わりを探すため3人は一緒に旅をすることになり――。
 『太陽戦士サンササン』『L』の坂照鉄平先生の新シリーズ『紫電の刀と慟哭の精霊姫』です。これはなかなか面白かったですね。
 舞台は魔法の世界イグネイシアに「日本」が異世界としてやってきた合成世界。武力に秀でる「日本人」はイグネイシア側の人たちから恐れれている、そんな時代。このあたりの設定が面白かったですね。
 登場人物たちも魅力的でした。「ブシドー」を求めて旅する陣八は、刀が手元にないと とたんにダメになるちょっと変わった少年だけど、どこまでもまっすぐな性格で読んでいて気持ちがいいいですね。またヒロインであるミラベルも良かった。陣八やグーデリアとのちょっと天然気味なやり取りが楽しいですね。もちろんそれだけじゃなくて、ちゃんと自分の信念をもっているのが素敵でした。あと個人的には歌舞伎者なあの人も結構好きだったりします(笑)。
 ストーリーそのものも楽しかったですね。序盤中盤は主役3人のやり取りにくすくすしつつ、終盤はバトル中心といった感じだったかと。あと終盤のあの師匠からの言伝が印象的でしたね。読んでいて「ああ、これはいいなー」と思いました。
 そんな感じで最初から最後まで楽しめました。おそらくシリーズものだと思うので、続きも楽しみです。