東京レイブンズ3

東京レイブンズ3 あざの耕平 富士見ファンタジア文庫 2010年12月25日

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 陰陽塾に春虎と冬児が入塾して半年。春虎たち1年は進級試験の最中だった。筆記試験が壊滅状態な今、春虎は実技試験に望みを託す。やってきた試験当日、呪術をうまく使えずに夏目をハラハラさせるハメに。そんな中、都内各地で突如霊災が発生。連鎖的にその「フェーズ」が上がり、同時にかつて霊災で後遺症を負った冬児にも異変が現れる。そして――。
 若い陰陽師たちが活躍する『東京レイブンズ』その3冊目です。これはとても面白かったですね。既刊に比べて一気に規模が大きくなってきました。
 舞台は進級試験のさなか、東京各地で発生した霊災が大きくなり、春虎たちのいる場所にまで影響が表れて……といった感じかと。事件が序盤から起きて、どんどん事態が変化していくのが良かったですね。春虎たちまで巻き込まれてどうなっていくのかと、ドキドキしながら読んでました。
 また、今回で霊災の後遺症が判明した冬児も良かったですね。春虎とのやり取りはまさに「男同士の友情」といった感じです。とくに終盤の二人の活躍はゾクゾクしました。
 今回の事件は収拾したけど、最後のあの展開もあり、これからどうなるのか続きが楽しみです。
 印象に残った台詞(以下反転)――「似合うか?」「……ああ、悪くない」「いかにも『人を食った』ところとか、な。お前にぴったりだぜ、冬児」――冬児と春虎の台詞(間の地の分は省いてます)。まさしく「悪友」といった感じの二人の関係が表れているようで、印象に残った台詞です。素敵。