烙印の紋章(3)

烙印の紋章? 竜の翼に天は翳ろう 杉原智則 電撃文庫 2009年4月10日

烙印の紋章〈3〉竜の翼に天は翳ろう (電撃文庫)

烙印の紋章〈3〉竜の翼に天は翳ろう (電撃文庫)

☆☆☆☆☆☆
 帝都ソロンにおける反乱を阻止したことにより、その名声を高めた皇太子ジル(オルバ)。そして彼は、皇帝により辺境の地アプター砦へ赴くように命令を受ける。そこはかつてガーベラに支配され、今回メフィウスへと返還されようとする場所だった。ビリーナとわずかな手勢を引き連れてアプター砦へ向かったオルバだが、その砦へ迫りくる勢力があり・・・。
 顔が瓜二つだったという理由で皇太子の身代わりとなった元剣奴隷のオルバが活躍する『烙印の紋章』その3冊目です。なかなか面白かったです。
 まず思ったのは、その正体を知っているいないにかかわらず、だんだんと周囲が皇太子ギルの、あるいはオルバの変化に慣れてきた――そんな印象を受けましたね。その上で、新たな関係を作っていっている、そんな感触。
 と、それはともかく、今回はわずかな手勢で、砦に迫ってくる勢力をどうするのかが注目だったかと。「きっとなんとかしてくれるはず」とは思いつつも、どうやるのかと、ドキドキしながら読めました。また、敵方であるアークス側の人物たちが なかなか魅力的でしたね。あけすけな物言いをするものの、どこか信頼がにじむアークスとその軍師ラバンの関係が良かったです。
 信頼関係といえばオルバとビリーナの関係にも少しずつ変化が生じてきたかと。といっても恋愛感情とは縁が遠そうなので、その辺は今後に期待ですね。
 今回、一応乗り越えたとおもったら、最後の最後に爆弾投下。あの人物はどう動くのか、これからの展開が気になります。