青春ブタ野郎はプチデビル後輩の夢を見ない

青春ブタ野郎はプチデビル後輩の夢を見ない 鴨志田一 電撃文庫 2014年8月10日

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 麻衣に降りかかった「思春期症候群」を乗り切り、ついに彼氏彼女の関係になった咲太――だったはずが、目が覚めたらつき合う前に戻っていた。同じ日を繰り返す現象に困惑する咲太その彼の前に同じ症状に遭っている少女・朋絵が現れる。友達の憧れの人からの告白を回避すべく逃げ回っているという彼女は、咲太に「嘘の恋人」を演じてくれと頼み――。

 不思議な現象「思春期症候群」に巻き込まれた少年たちの物語『青春ブタ野郎は〜』シリーズの2冊目『青春ブタ野郎はプチデビル後輩の夢を見ない』です。今回もなかなか面白かったですね。

 相変わらず登場人物たちの掛け合いが楽しいですね。なんというか、ちょっと淡々としつつもリズムカルなやり取りといったイメージかと。

 ストーリーも面白かったですね。告白は白紙状態になるは、麻衣に誤解されるようなところを見られるは、あげくには「嘘の恋人役」を頼まれるはと、咲太からすると踏んだり蹴ったりな状態なのだけど、それでもやるからには(相手のために)しっかりとするのは彼らしいですね。器用というというか不器用というか……(笑)。

 器用か不器用かわからないといえば麻衣もですね。咲太の妹のかえでのことを気にかけてくれてたり、「嘘の恋人」の件について気にていないようにみえつつも やっぱり気にしていたりと……まあ、素直じゃないのは間違いないですが(笑)。

 最初は「嘘の恋人」だったのに気がつけば……というのは王道ですね。まあ、あんな格好いいところを見せられたら惚れるよなぁ。とはいえ、咲太にとっては麻衣が一番なのは変わらないし、なので結末は決まっているのだけど、それでも朋絵が自分で「決着」をつけたラストが良かったですね。

 そんな感じで今回も面白かったですね。続きも楽しみです。
 印象に残った台詞(以下反転)――「麻衣さんは? 撮影以外で何かあった?」「白クマを食べた」「肉食系ですね」「かき氷よ」「実は知ってました。フルーツが載っているやつですよね」――咲太と麻衣の電話でのやり取りです。読んでいて思わずクスリとなったシーンで印象に残ってました。