時の悪魔と三つの物語

時の悪魔と三つの物語 ころみごや

時の悪魔と三つの物語 (HJ文庫)

時の悪魔と三つの物語 (HJ文庫)

☆☆☆☆☆☆
幼馴染のラキとイルク。帰ってきたら結婚しようと約束し旅に出たラキ。しかし残されたイルクに待っていたのは過酷の運命と「時の悪魔」だった。悪魔から時を駆ける「時の砂」を渡されたイルクは……。
 第7回HJ文庫大賞受賞作「時の悪魔と三つの物語」です。これはなかなか面白かったですね。
 三つの物語とある通り、三組の男女それぞれのストーリーが展開するのですが、これが良かったですね。キャラクター達の掛け合いが楽しいです。個人的に特に好きなのが二章の「旅籠姫」。勝気でちょっと強引なロニカと、そんな彼女に振り回されつつも、なんだかんだでまんざらでもないアルのやり取りが楽しかったです。なんというか微笑ましい。
 ストーリーもハッピーエンドといった感じで良かったですね。ただ、タイムパラドックス的なことは深く考えないとしても、若干すっきりしない部分もありました。特に3章の「時の悪魔」の目的あたりがちょっと違和感というか、「えー」ってなりました。とはいえ読後感は良かったです。シリーズものではないと思いますが、楽しかったので次回にも期待です。