断章のグリム(11)

断章のグリム(11) いばら姫・下 甲田学人 電撃文庫 2009年8月10日

☆☆☆☆☆☆☆
 泡禍によって隔離された真喜多邸。異形と化した母親と、荒んでいく家族関係。助けにきた蒼衣が何もできないうちに、事態はどんどんと深刻の度合いを増していく。そして、抗える者が減っていくなか、雪乃の体にも異変がおき……。
 『断章のグリム』その11冊目。今回もとても面白かったですね。「いばら姫」の完結巻です。
 ただでさえ事態がどんどんと深刻になっていく中で、さらに真喜多家の家族間の確執もあって、だんだんと追い詰められていく蒼衣たちの姿に、これからどうなってしまうのかとハラハラしながら読んでました。泡禍のこともあるけど、それとは別の意味でも「恐ろしい」話でした。
 それにしても描写が容赦がないですね。グロいというか痛いというか、読んでいて何度か背筋が寒くなりました。とくに「芽」の部分はつらかったです。
 ラストでのあのやり取りを思うと、今後にどことなく不安があるのですが……。とまあ、それはともかく、今回も面白かったので、これからの展開にも期待です。