風に乗りて歩むもの 

風に乗りて歩むもの 原田宇陀児 ガガガ文庫 2009年12月23日

風に乗りて歩むもの (ガガガ文庫)

風に乗りて歩むもの (ガガガ文庫)

☆☆☆☆☆☆ 
 私立探偵にしてタクシードライバーのボギィの元に、旧知にアローニ警部から連絡が入った。ある東洋人少女を護送してほしいというもので、しかし「行先は言えない」という。とりあえずタクシーを走らせることにしたボギィだが、何者かに襲撃されて……。
 老タクシードライバーと少女の逃亡劇『風に乗りて歩むもの』です。これはなかなか面白かったですね。発端は遊園地で起こった謎の失踪事件で、その現場からとある少女を送り届けるように依頼されたボギィと、その少女・グラニットの物語。
 最初は反発もあったボギィとグラニットが物語が進むにつれ、少しずつその関係を変化させていく展開が良かったですね。とくにボギィが良かった。不器用だなぁ。でも格好いい。
 逃亡劇自体も面白かったですが、失踪事件や、なぜグラニットが狙われるのかといった謎の解明のほうも面白かったですね。ぜんぜん見えてこない真相に、その陰にちらつく不気味さがあって、どういった答えになるのかと気になりながら読んでました。
 そんな感じで最後まで楽しめた作品でした。