ぐらシャチ

ぐらシャチ 中村恵里加 電撃文庫 2009年11月10日

ぐらシャチ (電撃文庫 な 7-13)

ぐらシャチ (電撃文庫 な 7-13)

☆☆☆☆☆☆
 高校入学をすぐそばに控えた津島榛奈。彼女は浜辺でオカリナの練習中に、高波にさらわれて死にかけたところを「ある生き物」に助けられる。しかし、その日から彼女の日常は変化していき……。
 「ダブルブリット」「ソウル・アンダーテイカー」の著者中村恵里加先生の新作『ぐらシャチ』です。これはなかなか面白かったですね。
 ストーリーはうっかり者の榛奈が、人語を喋る不思議な「ある生き物」と出会うお話かと。榛名とその生き物・グラの交流が描かれています。どこかまったりとした独特な雰囲気がありましたね。登場人物たちも魅力的でした。個人的には犬のシノが好きだったりします。
 それはそうと、この物語の特徴って、作中で書かれてましたが「言いたいことを言うことによって、その相手との関係性が流動化していくのが怖い」ということで表せるかと。中盤以降の榛奈の行動は、気持ちはわかるんだけど、読んでいてなんとも もどかしかったですね。
 あとがきを見るかぎりだと、続きの可能性もあるようなので、もし次があるならぜひとも読んでみたいです。