銀色ふわり 

銀色ふわり 有沢まみず 電撃文庫 2008年7月10日

銀色ふわり (電撃文庫)

銀色ふわり (電撃文庫)

☆☆☆☆☆☆
 高校生の少年・春道が出会った銀色の髪の少女。それはデジタルツールを介さないと姿を見ることも、声を聞くこともできない「黄昏の子供たち」と呼ばれる特異な子供の一人だった。そんな彼女を普通に見ることができる春道は、協力を仰がれ彼女とのコミニケーションをとり――。
 「いぬかみっ!」の著者有沢まみず先生が描く新シリーズ『銀色ふわり』です。これはなかなか面白かったですね。デジタルツールを介さないと知覚することができない少女と、そんな少女を肉眼でみることができた少年の物語。
 序盤は春道とイエスタデーの交流が微笑ましいですね。初めて触れ合う人間に緊張していた彼女が、少しずつだけど心を開いていく、そんな過程が良かったです。
 一方で、中盤以降はだんだんと不安になる要素が出てきましたね。イエスタデーが、春道が、それぞれ抱えている「思い」が印象的でした。
 何を書いてもネタばれに繋がりそうなので詳しくは書きませんが、一言でいうならサクサク読めてほんのりと切ない、そんな物語だったかと。続きもあるようなので、次も楽しみです。