静野さんとこの蒼緋

 静野さんとこの蒼緋 水鏡希人 電撃文庫 2009年1月10日

静野さんとこの蒼緋(ふたご) (電撃文庫)

静野さんとこの蒼緋(ふたご) (電撃文庫)

☆☆☆☆☆
 「お前に紹介したい人がいる」そう言われて、蒼介引き合わされたのは、今まで存在すら知らなかった双子の妹・緋美子だった。彼女は今日から一緒に暮らすという。強気で勝気な緋美子に終始やられっぱなしの蒼介。しかも、緋美子は同じ高校に通うという。もはや蒼介に安息の地はなかった。そんなおり、2人は学校で起こる不可解な事件に首を突っ込むことになって―。

 『君のための物語』でデビューされた水鏡希人先生の新作『静野さんとこの蒼緋』です。これはまずまずな面白さでした。
 前作と打って変わって学園コメディものという今回の作品ですが、読んでいてふとあの作品(一応ネタばれになりそうなので反転――きまぐれオレンジロード)が浮かびました。
 それはそうとストーリーのこと。序盤は、突然のこととはいえ蒼介のあの反応があまりにも苛烈な感じがして、「なんだかなー」と思っていたのですが、話が進んできて双子が交流を重ねていくうちに、だんだんと面白くなってきたかと。また、学校で変人集団と名高い科学部の面々が印象的でしたね。個人的には部長が好きかも。
 まとめ。最初は反発ばかりだった双子が、お互いを知っていきながら少しずつ歩み寄っていく姿が良かった作品。学園コメディというほどコメディが強くはない印象ですが、今後コメディ色が強くなっていけば、なんだかいろいろと面白いことがおこりそうな気がします。なので、次があるなら読んでみたいですね。