断章のグリム(9)

断章のグリム? なでしこ・下 甲田学人 電撃文庫 2008年12月10日

☆☆☆☆☆☆☆
 海辺の街で起こった悪夢。その物語の行方が分からないまま、蒼衣は日常へと戻らなくてはならなタイムリミットが迫っていた。そして雪乃を心配しながらも日常へと戻っていく蒼衣。しかし、蒼衣の予想を裏切り悪夢は拡散していく。

 『断章のグリム』「なでしこ」をモチーフにした話の下巻です。今回も変わらずとても面白かったです。
 まず序盤。「あれ?、この人・・・確か」とか思って読んでいたら、そういう展開だったとは。なんだかいろいろと衝撃でした。それそうと蒼衣のこと。平穏な日常を何より大切にしている蒼衣にとっては、普通に学校いったりするのは大事なこと。だけどさすがに平然としてはいられなかったようですね。いろいろと雪乃のことを気にしていたりするのが印象的です。ただ、それでも仲間の危機を聞いたとき、まっさきに浮かぶのが「次の日の学校」の事というのが なんというか歪みのようなものを感じさせます。
 ストーリーは相変わらず容赦ない感じですが、今回は少しだけ希望のようなものが見えていたかと。後味の悪さはあるんだけど、ほんの少しだけやさしい、そんな感じ。
 まとめ。今回も面白かったです。ただ、個人的な思いとしてはそろそろ蒼衣と雪乃の2人に、より焦点が当たったストーリーが読んでみたいなと思っていたりします。ともあれ、続きも楽しみです。