魔女は月出づるところに眠る・上

魔女は月出づるところに眠る・上 佐藤ケイ 電撃文庫2013年12月10日

☆☆☆☆☆☆
 大好きな家族や友人たちに囲まれて、ごく普通な生活を送っていた小学生の少女・東島恵奈。ある日ボランティアで訪れた洋館で魔女のアボンドと出会った恵奈は、彼女から魔法の存在と自分が見ている夢について教えられる。そのままアボンドの弟子入りをすることになった恵奈。しかしそれは「魔女の祖」復活をめぐる争いに巻き込まれる運命の始まりでもあった。
 『天国に涙はいらない』『私立!三十三間堂学校』などの佐藤ケイ先生の新シリーズ『魔女は月出づるところに眠る』です。これはなかなか面白かったですね。(おそらく)3部作の1冊目です。
 小学6年生の主人公だったり序盤中盤のどこかまったりとした雰囲気から、ほのぼのな作品なのかなと思っていたのだけど、実際は結構シリアスな展開でした。
 主人公である恵奈とその友人である里弥やさくらの仲良し3人組のやり取りにほのぼのとしつつも、ところどころに不穏な部分があってどうなるのかと思ったら、予想以上にシリアス展開でしたね。……ほんの少し何かが違っていたらもっと違った形になったかもしれない――そう思わせる展開がなんとも切ないです。
 まとめ。すごく派手とか 熱い展開とかはないのですが、どこか染み入るような雰囲気ですんなりと物語に入っていけた作品。これからどんな展開を迎えるのか続きが楽しみです。