ストレンジムーン2

ストレンジムーン2 渡瀬草一郎 電撃文庫 2013年11月9日

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 「マリアンヌの宝石箱」の封印が解かれ、その中にあったさまざまな異能者の力や記憶が解放されてしまった。普通の高校生月代玲音もまたその騒動に巻き込まれてしまう。同じように巻き込まれた妹や友人達を救うべく奔走するが、ついに”皇帝”ブロスペクトが目覚める。その依代となった人に愕然としつつも玲音は説得を試みるが、キャラバンを憎む皇帝にその言葉は届かず……。そして――。
 「マリアンヌの宝石箱」を端とする騒動に巻き込まれた玲音と仲間たちの物語『ストレンジムーン』その2冊目です。これはとても面白かったですね。
 結構な分量があるのですが、皇帝の目覚めから、キャラバンとの対立、さらには玲音にもある覚醒が訪れて――と、テンポがよくて一気に最後まで読めました。
 群雄劇に近い部分があるのか、主人公である玲音サイドだけでなく、いろいろな人物にスポットが当たっているのが印象的でした。どの人物も魅力的ですが、主人公サイド以外だと前巻から引き続き苦労の絶えない羽矢多さんや、時折ブラックな発言をするきぐるみ・くろとら君が好きですね。
そういえば今回はくろとら君のライバル(違う)が登場してましたね。まさかの登場に思わず「おお」という声が出てしまいました(笑)。あとそれに関連しておまけコーナーの最後が楽しかった。
 玲音サイドではクレアが色々と暴走してましたね。挿絵付きの中盤とかそのあとの掛け合いとかが楽しかったです。てか文槻家の人たちががいろんな意味ですごいな(笑)。
 そういえば今回も「パラサイトムーン」からの登場人物たちが結構出てきてるみたいですね。「パラサイトムーン」は未読なのであまり詳しくはないのですが(一応ちょっと調べた)、既読の人はきっともっと灌漑深いんじゃないかなと思ったりも。
 まとめ。シリアスな部分もありつつ、どこか気の抜ける部分もあり、最後まで一気に読めました。続きも楽しみです。
 印象に残った台詞(以下反転)――「……サイン、もらい損ねた……」――敵対しているくろとら君が行ってしまった時の亞里亞の台詞です。実はゆるキャラに目がなかった亞里亞、くろとら君にあってはしゃいでいる姿が可愛い(笑)。