東京レイブンズ6

東京レイブンズ6 あざの耕平 富士見ファンタジア文庫 2011年10月25日

☆☆☆☆☆☆
 かつて共に過ごした大切な少女、北斗の正体は夏目――。実技合宿以来そんな疑念が絶えない春虎。そのせいで夏目との関係もぎくしゃくしてしまう。一方、その脅威が現実的になった「D」こと芦屋道満が、陰陽庁に対して挑戦状を送り付ける。陰陽庁が警戒態勢を強めるなか、情報を察知した陰陽塾もまた警戒を強め、密かに準備を進めるが……。
 若き陰陽師たちが活躍する『東京レイブンズ』その6冊目です。今回もなかなか面白かったですね。
 序盤は割と穏やかでしたね。夏目と春虎はぎくしゃくしてましたが、鈴鹿は少しずつ打ち解けてきた感じでした。とくに京子とのやり取りはちょっとクスリとします。まあ鈴鹿本人は大変そうですが(笑)。
 また今回は天馬にスポットが少しあたっていましたね。どんどん成長している春虎たちと、自分の成長を比べしまいどこか焦る姿が印象的でした。
 「D」こと芦屋道満が動いてからの後半は、一気に緊張感が増しましたね。追い詰められていく春虎たちに、どんな展開になるのかとドキドキしながら読んでました。そして、今回はなによりあの人(一応反転――大友先生)の活躍がすごかった。今までの戦闘とはどこか違い、まさしく陰陽バトルといった感じでした。
 ラストの展開からまだまだ波乱がありそうですね。これからも楽しみです。
 印象に残った台詞――「おれたち、所詮学生だしな。未熟者なのはみんな一緒で、だからこそ力を合わせる意味があるって思うんだ。違うか?」――自分を責める天馬向けた春虎の台詞。この春虎の台詞だけじゃなく、このあたりのシーンそのものが印象的でしたね。それぞれの言いようで天馬に話しかける仲間たちが良かったです。素敵。