魔法の子

魔法の子 入江君人 富士見ファンタジア文庫 2013年10月25日

☆☆☆☆☆
 70年前に突如発生した魔法の力。それは生まれる時に発生し、その後年間10%の確率で失われる力だった。魔法の力を失った相馬アキラは行方不明の妹を探していた。ところがそんな彼のもとに、魔法が復活したという通知がもたらされ、防衛型教育都市“時島”へと連行されてしまう。その場所でアキラは、もう一人の妹凛と5年ぶりに再会し、また、自分の世話係を担当する桜田ノアと出会うのだった。
 『神様のいない日曜日』の入江君人先生の新シリーズ『魔法の子』です。これはまずまずな面白さでした。
 まず魔法の設定が良かったですね。70年前から生まれてくる人間に備わった「魔法の力」。それは「あちら」から「こちら」へと「物(火とか水など)」移動させる「召喚魔法」だった。だけどそれは零歳児や幼い子供に危険な武器を与えるのと同じで、多くの「不幸な事故」を起こしてしまう。このあたりの設定が印象的でした。
 ストーリーも良かったですね。ノアとの交流ですこしずつ変化していくアキラの心情が描かれていたかと。ただ、全体的に「あっさりしているかなー」という思いもあったり。とくに終盤はそれに加えてちょっと唐突にも感じました。
 そんな感じで楽しめたのだけど、全体的にあっさり風味でどこか乗り切れない部分もあった、そんな作品でした。