東京レイブンズ2

 東京レイブンズ2 あざの耕平 富士見ファンタジア文庫 2010年9月25 

☆☆☆☆☆☆
 夏の事件の後、夏目の式神となった春虎は悪友の冬児とともに陰陽塾に入塾することになった。そこで待っていたのは「しきたり」のために男装した夏目と、土御門家に対する好奇・冷たい視線だった。そして――。
 若き陰陽師たちが活躍する『東京レイブンズ』その2冊目です。今回もなかなか面白かったですね。
 夏目は土御門の次期当主であると同時にある噂(以下一応反転――現在の陰陽術や東京の霊災がおきる現状を作った夜光の生まれ変わりかもしれない)もあり、塾のなかでも孤立しがちな彼女。だけど今回春虎たちが入塾したことによって、必死に抑え込もうとしてるけど内心喜んでいる姿が可愛いですね(笑)。言動の端々から「楽しい」という気持ちが伝わってきます。
 また今回から登場する春虎の式神・霊狐のコンも良かったですね。忠義に厚すぎて、じゃっかん空回り気味なのが楽しい。あと初登場の時のあの騒動も面白かった。春虎、なんて運が悪いんだ(笑)。
 ストーリーそのものも面白かったですね。土御門ということでどこか敬遠される空気や、夏目と春虎に食って掛かる少女・京子など、問題が多い中で始まった学園生活。さらには夏目を狙う者も現れて――といった感じだったかと。春虎だけでなく夏目の心情にもスポットがあたっていたのが印象的でした。
 舞台を東京にうつし、いよいよ本格に始動といった感じですね。これからも楽しみです。