かくて滅びた幻想楽園2

かくて滅びた幻想楽園(ディストピア)2 手島史詞

☆☆☆☆☆☆
 神獣たちが人間を支配・統治する世界。神獣に対抗する組織に属する少年リューは、神獣のひとりメガロスを撃退する。そのことで神獣たちから反逆者と認識された彼は、仲間のイオリ、クレアーレとともにアクアの地を目指す。クレアーレのかつての仲間、神獣・リヴァイアサンの助力を得るために。
 神獣たちが支配する世界で、盗賊を名乗る少年リューと仲間たちが活躍する『かくて滅びた幻想楽園』その2冊目です。今回もなかなか面白かったですね。
前回同様テンポがよくてさくさく読めました。個人的には1巻よりも登場人物たちが魅力的に見えましたね。メインであるリュー、クレアーレ、イオリの掛け合いが楽しいです。とくに中盤のクレアーレとイオリの二人きりのやり取りが、暖かくなんとも微笑ましい。
 他の登場人物では超強面のフーマー隊長が好きですね。その強面ぶりの描写に笑いつつも、落ち着いていてどこか愛嬌のある性格が素敵です。
 ストーリーもよかったですね。「盗賊」であろうとするリューが、メガロスを撃退したことでおこった状況の変化に戸惑い迷いながらも、自分の道を進もうとする、そんな姿が印象的でした。
 あとがきによると一応今回で一区切りということです。個人的にはもっと先を見てみたいという思いもありますが、1,2巻ともに楽しめた作品でした。
 印象に残った台詞(以下反転)――「じゃが、子供を見るなら、わらわは汝とリューの子が良い」――イリと二人で話している時のクレアーレの台詞です。特に詳しい説明はしませんが、やさしいまなざしで微笑んでいるクレアーレが想像できるようで印象に台詞&やり取りでした。