ストレンジムーン

ストレンジムーン 渡瀬草一郎

☆☆☆☆☆☆
 妹と二人暮らしの高校生・月代玲音。ある日彼は文槻クレアに連れられて友人達と共に地元の洋菓子店へとやってきた。場違いなメイドの姉妹との出会いや変わり種のケーキを食べる彼ら。しかしそんな日常の裏で、異変の刻が着々と忍び寄っていることに彼らはまだ気づいていなかった……。
 「空ノ鐘ノ響く惑星で」や「輪環の魔導師」の渡瀬草一郎先生の新シリーズ[ストレンジムーン]です。これはなかなか面白かったですね。
 あとがきによると同作者の「パラサイトムーン」と世界観に共通しているものがありつつも、基本的には新しい話ということです。自分は「パラサイトムーン」は読んだことはなかったのですが、前作である「輪環の魔導師」にも登場した単語がちらほらと出てきたので、いろいろと思いだしながら読んでました。
 ストーリーは1巻ということもあり、まさしく序章といった感じでした。「マリアンヌの宝石箱」の封印が解かれ、中に入っていたさまざな異能者の力や記憶が解放されてしまい……といった話。解放された箱の力が、いろいろな人たちに飛び火して騒動を起こしていくのが印象的でしたね。
 登場人物達も魅力的でした。主人公達はもとより元の元凶ともいえる美女・周皓月(しゅうこうげつ)や苦労が絶えなそうな羽矢多さん、さらにはアレなくろとらくんなど、他の人たちもクセがありつつも魅力的でした。
 それにしても世間が狭い(笑)。作中でもちょこっと触れられてますが、狭い町の話ということもあって、登場人物達が実は知り合いだったり関わりがあったりしたのが多かった印象があります。
 続きが気になるところで終わっているので、これからどうのような展開を迎えていくのか次巻以降も楽しみです。