ヴィークルエンド

ヴィークルエンド うえお久光 電撃文庫 2010年7月10日

ヴィークルエンド (電撃文庫)

ヴィークルエンド (電撃文庫)

☆☆☆☆☆☆
 生まれてくる子供が先天的な“欠陥“を持ち、『サプリ』という補助剤の助けがなければ感情が制御できなくなった近未来。少年カナミは<ヴィークル>という『サプリ』を使った<ヴィークルレース>に興じる<ヴィークルライダー>だった。ある日、カナミはレースの最中に不思議な少女に出会う。彼女は出雲ミクニ――新世代と称される歌姫だった。そして――
 『シフト』の著者うえお久光先生による新作『ヴィークルエンド』です。これはなかなか面白かったですね。
 まず「ヴィークルレース」が面白かったですね。一言でいうなら仮想のコクピットから自分の体を操縦して速さを競うレースなのですが、これがいい感じでした。夜の街を駆け巡るという展開が個人的に好み。
 ストーリー自体も良かったですね。ある一定以上の感情を「熱」としか感じれないカナミのその心情とか考え方は、正直いうといまいち共感はできないのですが、それでも目標に向かって突っ走っていく姿勢が格好良かったです。とくに終盤のアレはいろんな意味で印象的でした。なんていうかいっそ清々しい。また、ヒロインであるミクニとの掛け合いもいい感じでした。
 ただ、この巻で完結というのがなー。読んでいて、これからどんどん面白くなっていきそうだなと思っていたので、それが割と残念。まあ十分楽しめたので、とくに問題はないのですが。