ブレイドライン(3)

ブレイドライン(3) アーシア剣聖記 水野良 角川スニーカー文庫 2010年7月1日

ブレイドライン3 アーシア剣聖記 (角川スニーカー文庫)

ブレイドライン3 アーシア剣聖記 (角川スニーカー文庫)

☆☆☆☆☆☆ 
 ついに帝都へとやってきたヒエン達。ようやくセラを託せると執政家へと赴くが、妖精族である彼女を匿うことは、皇帝直下の武使集団“近衛”から禁じられていた。なんとかセラの存在を認めさせようと、ヒエンはスズリと共に皇帝に謁見するため神域へと向かうか……。
 戦乱渦巻くアーシアを舞台に繰り広げられる武使ヒエンの物語『ブレイドライン』その3冊目です。今回もなかなか面白かったですね。
 セラの生家に着いて、ようやく彼女を預けれらると思っていたヒエンだったけれど、彼女の存在は帝都でも禁忌といえるもので……。それでも彼女を守るために赴いた神域で、鬼との戦いに巻き込まれて――といった流れのストーリだったかと。ヒエンやスズリの活躍も良かったのですが、他に登場した武使達も格好良かったですね。個人的にはツツイ翁が素敵。どこか茶目っ気もあって、それでいて若者たちをしっかりと見ている、そんな姿がとても格好良かったです。
 そういえば、あとがきでも触れられていましたが、今回いろいろと世界観が前面に出てきていましたね。精霊と人間の関係とか、鬼のこととか、これからの展開が楽しみになりました。そんなわけで、続きにも期待です。
 印象に残った台詞(以下反転)――「わたしは不覚にも、ツツイ様が斬られてしまったと思い、つい目を閉じてしまいました。それゆえ、トウイ様が術を止められたところを見逃してしまいました……」「そんなことはどうでもよいのじゃ。わしも斬られると思うて、最後は目を閉じていたくらいだからの」――スズリとツツイの掛け合い。ツツイ翁の言い方に愛嬌があって印象に残っていた台詞です。この人やっぱり好きだなー。