おやすみ魔獣少女

おやすみ魔獣少女 暗黒女神の<領域> 川人忠明 角川スニーカー文庫 2010年7月1日

☆☆☆☆
 山間の村に住む少女エストは、ある日二人組の男女に皇都へと連れ去られてしまう。二人は自らをライラ神皇家の戦術設計士スハイツと従兵召使ミビと名乗る。二人の目的はエストに親皇家の当主を継がせることだった。そしてそれは、その身に「魔獣」を宿し大陸最強の殺戮者「領域魔術士」となることを意味していた。
 『ソード・ワールド2,0』シリーズなどを手がけている川人忠明先生による新シリーズ『おやすみ魔獣少女』です。ではさっそく感想。これは悪くはなかったのですが、自分には少し合わなかった作品でした。
 乗り切れなかった一番の理由は、主人公であるエストにうまく感情移入できなかったことですね。フィリアのことにしても、そのあとの覚悟を決めるところにしても、なんだかあっさりしていて少し違和感がありました。なんていうか、当主になってから あの「目標(以下一応反転――戦争をなくしたい)」までの流れが、読んでいていまいち掴みとれない、そんな感覚。
 ただ、エストとミビ、スハイツの掛け合いは楽しかったですね。ミビのスハイツに対する言動が素敵。個人的には登場人物のなかでミビが一番好きかも。
 そんな感じで軽快な掛け合いなどは楽しかったのですが、乗り切れない部分もあって、自分には少し合いませんでした。