天空のリリー

天空のリリー 千田誠行 一迅社文庫 2010年4月1日

天空のリリー (一迅社文庫)

天空のリリー (一迅社文庫)

☆☆☆☆☆☆
 舞台は1941年のソビエト連邦。反ドイツの機運が高まる中、エンゲルス基地において女子パイロットによる飛行機連隊が結成されようとしていた。空が好きな少女リリーは、その部隊へと志願し戦闘機パイロットを目指していた。
 実在した女性エースパイロットをモデルにした『天空のリリー』です。これはなかなか面白かったですね。
 空を飛ぶことが好きな訓練生のリリーが、仲間やライバルたちと交流を重ねがらパイロットを目指して頑張る、そんなお話。リリーは負けん気が強くてトラブルメイカーでもあるのだけど、非常にまっすぐな性格をしていて魅力的ですね。イラストに惹かれたことも否定しませんが(笑)。
 背景には戦争があるのだけど、血生臭い展開はなく、物語自体はとても穏やかでしたね。登場する人物たちも皆温かくて良質な青春ストーリーといった感じでした。個人的にはリリーと教官アレクセイとのやり取りが好きだったします。 
 続きもあるようなので、訓練の終了したリリーがどのような物語を紡ぐのか、次も楽しみです。
 そういえば(以下、あまり関係ないので一応反転)――「高下駄」のくだりで「銀河漂流バイファム」を思い出しました(笑)。