サイレント・ラヴァーズ(4)

サイレント・ラヴァーズ(4) 真実を君に 吉村夜 2008年3月25日

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 (セツナとはおれ自身のことだ)――戦争が終結へ向かいつつあるなか、ヒバナのもとにセツナがやってくるという。その知らせに困惑するアンタレスは、嫌な予感に囚われていた。一方、終戦ムードの裏側で、終戦を望まない存在がいた。自らを『神』と名乗るその存在は、禁じ手ともいえる手段を講じていた。
 肉体を失い、鋼鉄の悪魔ディアブロにされてしまった少年セツナと、その恋人で戦争に徴兵された少女ヒバナの物語『サイレント・ラヴァーズ』その4冊目にして最終巻です。今回もとても面白かったですね。
 最終巻なので簡単に一言二言。アンタレスに明かされる真実。それはあまりにも残酷な真実で、アンタレスの受けた衝撃は大変なものだった。だけど、それでも再び立ち上がろうとする――そんなアンタレスの「強さ」が見えた気がします。その「強さ」はとても偉大で、だけどもどこか切ない、そんな印象を抱きました。
 最後の戦いや『神』については、若干駆け足気味に感じる部分もありましたが、それでも十二分に楽しめました。アンタレスもですが、アラシが格好良かったですね。まさにエースだ。
 結末については色々と思うこともあるのだけど、それでも各人それぞれに希望が見える終わり方が良かったですね。
 そんな感じで、シリーズ通して最初から最後まで飽きることなく楽しめました。全4巻、ありがとうございました。