円環のパラダイム

円環のパラダイム 瀬尾つかさ 一迅社文庫 2009年12月1日

円環のパラダイム (一迅社文庫 せ 1-3)

円環のパラダイム (一迅社文庫 せ 1-3)

☆☆☆☆☆☆
 バラバラの破片(ピース)に引き裂かれた地球。異星の生物たちが棲む破片(ピース)と繋がり、人は過酷な生活を強いられていた。そんな過酷な世界を旅していた少年玖朗と、妹同然に育った少女可耶がたどりついたのは、<学校>と呼ばれる破片(ピース)だった。過酷な世界にあって平穏な<学校>。しかし、そんな<学校>を狙う敵があらわれて……。
 『クジラの空』『白夢(スノーミスト)』の瀬尾つかさ先生の新シリーズ『円環のパラダイム』です。これはなかなか面白かったですね。個人的には『白夢』より好みかもしれません。バラバラの破片(ピース)になって、異界と繋がってしまった地球を舞台に、少年玖朗と仲間たちが活躍するお話。
 まず、その設定が面白かったですね。バラバラの破片(ピース)になった地球。繋がった異界にも住んでいる生き物がいて、人間と共存したり、敵対したりしているというのが面白いです。
 それはそうと、次にストーリ―について。生き残るため、大切な少女を守るために、いろいろなことを割り切りながら半年間も旅をしてきた玖朗が、<学校>という場所の中で少しずつ変わっていく展開が良かったですね。特に<学校>側の少女ユカの存在が大きい。彼女の不器用だけどまっすぐな「思い」がなんとも素敵でした。また、その他の登場人物たちも魅力的だったかと。
 シリアスな部分では結構容赦のない展開にもなりそうだけど、いろいろと伏線もあり、さらにはこれから楽しくなりそうな恋愛要素とかもあり、今後どういう展開を迎えるのか続きが楽しみです。