氷結鏡界のエデン

氷結鏡界のエデン 楽園幻想 細音啓 富士見ファンタジア文庫 2009年9月25日

☆☆☆☆☆☆
 浮遊大陸オービエ・クレア。そこは、人々を脅かす幽幻種と呼ばれる存在から、巫女の祈りによって守られた場所だった。その巫女である少女ユミィは、ある少年を待っていた。かつて大陸から堕ち、異端として追放された幼馴染の少年シェルティスを……。
 『黄昏色の詠使い』の作者細音啓先生による新シリーズ『氷結鏡界のエデン』です。これはなかなか面白かったですね。浮遊する大陸オービエ・クレアを舞台に、「穢歌の庭(エデン)」と呼ばれる氷結世界の侵攻から大陸を守る結界を支える巫女の少女と、かつて「穢歌の庭(エデン)」に堕ち、生還した異端の少年の物語。
 ストーリーは追放された少年シェルティスサイドと、結界を守る巫女ユミィサイドのお話が交互に語られる形で、シリーズ1巻目ということもあり、序章(というよりスタート地点にたった?)といった感じでした。勝手な想像としてもっと暗いイメージを持っていたのですが、割と明るい雰囲気だったんじゃないかと。
 それはそうと、どちらの側の登場人物たちもなかなか魅力的でしたが、個人的に一押しなのが人口知能を備えた水晶のイリスだったりします。人口知能だけどなんとも感情豊かで、さらに意外とお茶目だったりするところが素敵(笑)。
 シリーズは始まったばかりなので、これからどういった展開を迎えるのか、続きが楽しみです。