晴れた空にくじら(3)

晴れた空にくじら(3)浮鯨のいる空で 大西科学 GA文庫 2009年9月30日

☆☆☆☆☆☆
 一大決戦の日が近づいてきた。雪平たちの乗る<峰越>も、連合鯨軍とともに戦場へと臨む。そして雪平たちは戦場で、クニが追いもとめていた仇敵と再会する。
 「浮鯨」という生き物から採れる「浮珠」を利用した「浮船」という空中船が存在する世界での物語『晴れた空にくじら』その3冊目にして完結巻。今回もなかなか面白かったです。
 相変わらず独特な雰囲気ですね。まったりというかなんと言うか。それはともかく。決戦が近づいてきて、各人それぞれに「これから」というものが見え始めたなかで、クニがいろいろと揺れ動いていたのが印象的でした。とくに酔ったときにポツリと漏れた一言は彼女の本音なんだろうなーとか思ったり。
 いよいよ始まった決戦も良かったですね。とくに終盤の展開が良かった。雪平がなんとも彼らしく活躍していたかと。やっぱりこの人は底が知れないですね。
 そんな感じで、独自の雰囲気、クニと雪平のこと、まったりとしているようで緊張感のある戦闘と、シリーズ通して最後まで楽しめました。大西科学先生の次回作も楽しみです。
 印象に残った台詞(以下反転)――「クニに見とれているから、そんなことになる。なるんだが……」「まあ、その気持ち、わからんでもない」――雪平の台詞。格好よく登場して言うことがそれかーとか思った(笑)。ただ、これこそが雪平ですね。なんとも彼らしいです。