死なない男に恋した少女

死なない男に恋した少女 空埜一樹 HJ文庫 2008年6月1日

死なない男に恋した少女 (HJ文庫)

死なない男に恋した少女 (HJ文庫)

☆☆☆☆☆
 不死身な体をもつ少年・乃出狗人。そんな彼が出会ったのは、巷でも噂になっている天才殺人鬼・桐埼恭子だった。しかも、出会ったばかりの彼女は突然狗人に告白してきた。「いくら刺しても死なないから」というのはその理由だった。
 今作がデビュー作となる空埜一輝先生の『死なない男に恋した少女』です。これはまずまずな面白さでした。
 人を切りたいという「性癖」を持つ少女と、どうあっても死なない不死身の男が出会うお話。まあ、さすがに登場人物に共感とかはできませんが、ラブコメしている2人のやり取りはなんだかんだで楽しいですね。殺人鬼ではあるけど、基本的には普通の女の子である恭子が印象的でした。シリアス展開のほうもまずまずでした。ただ、すっきりとした気持ちのいい展開ではないので、好き嫌いは分かれそうですね。個人的にはすこしもやもやが残ったかも。とはいえ、いろいろと評判もいいので、折をみて次も読んでみたいです。
 印象に残った台詞(以下反転)――「顔、赤いぞ」「そ、そんなことはない」「じゃあなんで顔を隠す」「か、隠しているのではない! 顔の皮を剥ぎ取ろうとしているのだ!」――狗人と恭子の掛け合いです。恭子の照れ隠しの言葉が楽しいですね。斬新だ(笑)。